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「あたたかい暮らし」のための住まいづくり

家が健康寿命を縮めるひとつの原因が温熱性能の違い

家が健康寿命を縮めるひとつの原因が温度です。
人間は体温が下がると免疫力が落ち、体の機能が低下します。
だから、健康で長生きするためには暖かい家に住んで、体を冷やさないことが重要というのは世界の常識です。
英国保健省によると、冬の温度は全室18℃が望ましい。18℃を下回ると、循環器系、呼吸器系にさまざまな支障をきたすと言われています。
一方、日本の省エネ基準(2016年)では、東京などの温暖地でも最低室温が9℃まで下がってしまいます。
そして日本の家は、90%以上が18℃以下なのが現状です。

脱衣所や風呂場が寒いとヒートショックによる危険が・・・
また、使う部屋だけ暖房で温度を上げるというのは、残念ながら根本的な解決になりません。

たとえば室温26℃のリビングを出て暖房のない風呂場に向かうとしましょう。8~10℃しかない廊下や脱衣所では血管が収縮して血圧が急上昇します。「うう寒い、早く温まろう」とすぐに42℃のお湯に浸かれば縮んでいた血管が拡張して血圧が急降下、心臓発作や脳梗塞の危険がたちまち高まる。

これがヒートショックです。

厚生省2015年発表によれば入浴中の死者は19,000人、2019年交通事故者は3,200人です。動脈硬化が進行している中高年はリスクが高くなります。
それならば暖かい地域に移住すればいいのかといったら、そういうわけでもありません。

統計をみると冬の死亡増加率が高いのは比較的温暖な県が多く北海道、青森、秋田などは逆に低くなっています。
なぜだと思いますか。
それは、寒い地域の人ほど高気密・高断熱で暖かく温度格差の少ない家に住んでいるからなのです。

寒い家、寒い部屋に住んでいると血圧も上がり、病気にも・・・
高血圧治療は塩分控えめ、肥満の改善、運動療法、野菜などの食事療法を医師が勧めます。

果たしてそれだけが治療方法なのでしょうか?
2019年米国心臓協会が監修する高血圧国際医学誌「ハイパーテンション」によると起床時の居間室温が20度から10度低下すると、平均的な30代男性の血圧は3.8上昇、80代男性は10.2も上がった。女性では、室温20度ではすべての年代も自宅の家庭用血圧測定においては135を下回っているが、10度室温が下がるにつれて80代女性は11.6上昇する。
年齢が上がるほど血圧は室温の影響を強く受ける
「冬の室内温度は18度以上に」とWHOが勧告しています。

暖かい住宅への転居によって病気になる人が減少

冬の室温が2度上がると健康寿命が4歳延びるという事実が明らかになっています。
寒い家は暖かい家に比べて「寝つきが悪い」が2.2倍
途中目が覚めるが2.3倍高く、海外の研究では12度以下で寝ている子供は喘息を発症しやすいという報告があり、

1度室温が上がるごとに咳の症状が改善すると報告があります。
また、高断熱住宅に転居した人を調べたところ、

脳血管疾患、心疾患、糖尿病、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が改善したという有意な結果も出ているのです。
血圧が下がるのは、末梢血管が広がるから。
糖尿病は、体温が上昇すると糖分が燃えやすくなり、その結果血糖値が下がるというメカニズムもわかっています。
アレルギーがよくなる理由は、断熱性能が上がると、あの嫌な結露がなくなるからです。

結露がないとカビが生えません。そうするとカビをエサにするダニも発生しないので、アレルゲンがなくなって症状が改善するのです。

日本は断熱基準において世界の後進国

日本はG7の一員として、世界の先進国として位置づけられていますが、断熱基準については、悲しいことに、後進国です。
日本では、夏暑くて、冬寒い家が多いというのが実状です。
日本よりも高緯度にあるドイツやフランス、イギリスなどの家は、寒い冬も含めて一年中快適に過ごせる家が多いのです。
それでは、断熱基準の違いを具体的に考えてみましょう。
断熱基準の指標となるのが、UA値(外皮平均熱貫流率)。
建物のなかから建物の外へと逃げる熱の量を外皮(屋根、外壁、窓、床など)の合計面積で割った値になります。
値が小さいほど、夏は外から熱が入りにくく、冬は内から熱が逃げにくくなるので、建物(外皮)の断熱性能がよい、と判断できます。
ドイツなどの欧州各国では、断熱基準が厳しく設定されています。
ですから、小さな暖冷房負荷で一年中家のなかを快適な温熱環境に保つことができる家が復旧しています。
一方、日本の断熱基準は、北海道をはじめとする寒冷地を除いては、世界基準とは大きな差があります。
東京をはじめとする温暖地で推奨されるUA値は0.87W/(㎡・K)と、欧州各国の基準に比べて2倍以上の差がある、というのが事実です。
しかも、建物規模の小さな戸建住宅に関しては、2020年の時点では、断熱基準への対応は、努力義務であり、必ず守る必要はありません。
したがって、温熱環境のよい家に住むためには、意識を高めていく必要があります。

暖かく冬を過ごすために
◆加湿器を上手に使いましょう。
冬の湿度は40~65%が理想的です。
湿度が低いと、インフルエンザなどのウィルスへの感染が懸念されます。
過乾燥の状態では、粘膜が乾き、ウィルスが体内に侵入しやすくなるからです。又静電気も湿度の低さが原因です。

ですから、加湿は重要です。湿度が上がると、同じ温度でも暖かく感じます。

◆料理を作りましょう
料理をすれば、火源から放射熱が得られるほか、湿度も上がります。
家族で囲む鍋は心も体も温まりますね。

◆温かい飲みものを飲みましょう
生姜紅茶などの温かい飲みものを飲めば、体の内側から暖まります。

◆厚手のカーテンを付けると、室内の熱が逃げにくいです。

◆床に絨毯(じゅうたん)を敷くと、床面の冷たさが軽減されます。

◆掃除等を行い活動量を増やしましょう
体感温度は、代謝量(活動量)でも変わります。掃除や料理をすると着座時の約2倍の代謝量があります。

◆寒さに困っている方は、断熱リォームの検討を
1.窓を改修する 
熱が逃げやすい窓の断熱性能を上げる工事です。

2.床の断熱性能を上げる
足元の冷たさを緩和して快適性を向上させる工事です

3.部分的に断熱を行う
リビングや寝室や洗面、風呂など 一部屋を断熱性能を上げる工事です。

4.全体的に断熱を行う
家全体の断熱性能を上げる工事です。フルリノベーションを行うときにお勧めです。

もともと、一番長い時間を過ごす場所であった「住まい」ですが、
今起きている世界的な問題(新型コロナウィルス感染症)などに対応するため、住まいで過ごす時間は、今後圧倒的に増える可能性があります。
これまで、ほかの場所でしていたあらゆる行為を「住まい」ですることになるかもしれません。
家事、勉強、家族とのコミュニケーション、仕事など、これから日常が大きく変わる転換期を迎えているように思えます。
こんな時代だからこそ、どんなところに、どんな家に住んでいるかが最も重要になってくると思います。
そして、住まいが身体と心を癒し豊かな未来を創ると確信しています。

あたたかい暮らしのための住まいづくりは、ドクターズホームにご相談下さい。

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