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【幸せを育む家づくりの秘訣③】台風・異常気象にも対応できる家

1.関東に大きな被害をもたらした2019年台風15号

2019年(令和元年)9月5日に発生した台風は、9月9日に関東地方に上陸しました。

観測史上最強クラスの勢力を有したこの台風は、甚大な被害を出しました。

後に令和元年房総半島台風と名付けられたこの台風により、首都圏やその周辺などの台風災害に対する脆弱性が改めて浮き彫りとなった格好です。

同年8月の大雨被害と共に、政府は同一の激甚災害と指定しました。

特に、私が本拠地を置く千葉県が被害の中心であり、屋根からブルーシートに覆われた家が至る所に見受けられました。

私の故郷は、まさしく台風の名に冠された房総半島の南房総であり、何年か置きに大きな台風に見舞われる地域です。

しかし、ここに長く暮らす私でも、正直、ブルーシートの屋根ばかりの光景は衝撃でした。

それも古い家ばかりでなく、比較的新しい家でも被害は同様でした。

どうして新しい家までもと思うでしょうが、これはローコスト化が進む家づくりの弊害であるようです。

ローコスト化するということは、突き詰めると、建築基準法スレスレの中で、柱や梁、資材をいかに少なくするということです。

施工材料が少なかったり、細いもので済ませたりする分だけ材料費や労務費も安価になります。

ただでさえ建築基準法とは、最低限の基準であり、「これ以上にしなさい」と促している法律であるはずなのに、大手メーカーを含めた住宅業者たちはこぞってそのギリギリのところでお茶を濁しているのです。

だから少しでも想定外の災害にぶつかると、ひどく脆い。

今回、特に目についたのは、軒先に被害が出る家でした。

日常的に雨に濡れる部分にもかかわらず、ベニヤ板で施工されていたからです。

ベニヤ板は雨に晒される場所に使うと10年ほどでブカブカになってしまうほど耐久性は強くはありません。

これを放置すると、やがては屋根にまで雨が吹き込むようになり、屋根の張り替えなどの大がかりな手直しが必要になる場合がほとんどです。

今回の台風の強い風雨ばかりが原因ではなく、それ以前にコストを下げることばかりに目を奪われ、問題となる弱点を抱え込んでいた結果です。はじめから時限爆弾を仕掛けられていたようなものなのです。

たまたま大きな台風に見舞われたため、想定していたよりも早く問題が露呈したに過ぎません。

他の事例では、私の知人の隣の家で、一見したところでは被害が確認できないのに、今回の台風を機に雨漏りが起きるようになったと言うものがありました。

こういったケースは、実は珍しくなく、雨漏りは、いつ、どこから漏れているかを特定するのが難しく非常に厄介な問題です。

放置しておくと建物の寿命を縮めるばかりでなく、そこに住む方の健康を害する危険性も孕んでいます。

雨漏りや結露により家の中が乾いていない状態になると、カビが発生します。

カビは、アレルギーや感染症、ガンや認知症も引き起こす原因となり、健康を害する危険な住環境と言えます。

このケースは、柱や梁の強度が不十分なために、台風の強烈な風圧を受け、家そのものが歪んでしまい、屋根のどこかに亀裂や隙間ができたために雨漏りしていると考えられます。

実は、こういうケースは、保険適用も難しくなります。台風による被害であるとの証明ができないからです。

大きな台風では、目視だけでは確認できないダメージを受けることがあります。保険が適用されるか、されないかという不測の事態にもなりかねませんので、保険に入る時にはしっかり補償内容を確認するなど、十分な配慮が必要です。

もちろん、それ以前に目先のコストや見た目のカッコよさばかりに囚われず、家族と財産をしっかりと守れる頑丈な家づくりをすることが大切です。

 

2.異常気象にも対応できる家づくり

この台風でもう一つ痛切に感じたことは、異常気象にも対応できる家づくりの必要性です。

近年、いわゆる地球温暖化により、気象が極端に荒くなったように思われます。

中国南部の広州市では、50年ぶりに降雪が観測されました。

アメリカのカリフォルニア州デスバレーでは、2020年8月16日に気温54.4度が記録されました。

この記温は世界で過去3番目に高く、1931年以降の89年間では最も高い気温となります。

さらに9月に入ってもカリフォルニア州を含む米西部は熱波に見舞われ、ロサンゼルスでは6日、最高気温49.4度を記録するなど州内の多くの地点で観測史上最高の気温を更新しました。

このカリフォルニア州では8月半ばから落雷が原因とみられる山火事も多発し、高温と乾燥が続く中で消火活動が追いつかない状況が続きました。

米海洋大気局によると、今夏(6~8月)の北半球は1880年以降の観測史上で最も暑かったと発表しています。

地球の他の地域の2倍以上の速さで温暖化が進む北極圏では顕著な高温が続き、大規模な氷の融解や森林火災が報告されています。

こういったニュースが世界各地で報告され、洪水や日照り乾燥による山火事や寒波などの報告もよく耳にします。

何十年ぶり、或いは、かつて経験したことのないような事象が次々に発生しているのです。

ある学者の話では、シベリアの寒気が日本列島を覆い、日本でもマイナス3~5℃の日が何日も続く可能性もあると言うことです。

近年は、夏でなくとも猛暑日が続き、家の中でも熱中症による死亡者が多数出ています。

このように未曾有の異常気象が続いているため、暑さ寒さに対応できる家造りが求められます。

それも無駄にエネルギーを消費しない家であることが、温暖化対策に寄与します。

それには、北海道でも沖縄でも快適に暮らせる高気密・高断熱性能が必要です。

私の地元、南房総市は比較的温暖な気候であるせいでしょうか。「そんなに高い性能は必要ない」と仰る方も少なくありません。けれど、よりグローバルな視点で地球温暖化や異常気象のことを想定すると、家の高気密・高断熱化は必須です。

それも建築基準法に定められているような地域別の断熱材の厚さや気密性能の基準では、甚だしく性能不足であり、それよりも上の基準、全国一律に北海道レベルの性能に揃えるべきでしょう。

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