風水

風水の歴史

風水は占いでもおまじないでもありません。
風水は住む方に幸福をもたらす住宅、街や都市をつくるための方法として古代から脈々と続くものです。

風水という言葉が初めて歴史上に現れたのは中国の晋の時代(4世紀ごろ)。郭璞(かくはく)という人物が書いた『葬書』のなかで初めて使われています。古代中国の人々は自分たちの生活している土地や地形、風景をよく観察し、それが自分たちの生活にどんな影響を与えているのか調べたと言われております。それが現在の風水の原型です。

中国の歴代国家の首都は、すべて風水をみて造営されていると言われ、同時に中国では数千年以上前から「気」というエネルギーの思想に基づいた医学、科学、土木建築学がさかんに行われておりました。「気エネルギー」はすべての物質的生命現象の源になっており、大自然の大地の中にあっては、地中から吹き出し、風に乗り、雲に出会って雨として降ってくると言われていたのです。

日本では602年、推古天皇の時代の書物に「風水」という言葉が現れています。以後、奈良、京都、鎌倉、江戸の街は風水に立脚して造営されてきました。徳川家康は天台宗の僧、天海僧正に風水に基づいて江戸の街を造営させて、徳川家の長期安定政権と家運隆盛を誇ったのです。
風水発祥の地である中国や風水建築が発達した香港や韓国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパでもホテルやオフィス、住宅で風水設計がさかんに行われています。

世界中で風水が街づくりや建築、設計に取り入れる目的は、繁栄を目指してのことです。オフィスやホテル、公共施設の場合はとくに「経済風水」といって経済的に発展する、財運を呼び込むために風水を取り入れています。風水に基づいて街づくりが進められた江戸が300年間安泰だったように、風水を取り入れた結果、大きな利益や効果がもたらされたことを、現代の建物でも受け継いでいるのです。

家相学は風水ではない

「東南に玄関」という言葉を風水の考え方だと多くの方が誤解しているようですが、それは風水=家相だという誤った認識であり、これは大きな間違いです。

家相というのは、文字通り「家の相」のことで、人間の顔に人相があるのと同じように家にも家相というものがあります。風水の源流の一部を切り取って日本で生まれた日本式の家の診断方法のことです。家相は方位だけで家屋を鑑定し、吉凶を判断するだけの極めて単純化されたものにすぎません。風水には「○○の方位に玄関」という固定概念はありません。

風水は道路と建物の位置関係や間取りの設計、そこに住む方によってすべて変化していく個別対応、オーダーメイドのもので、すべての方にとって良い家、良い環境というものは存在しないし、現実にそこに住む方の家族構成や気の性質を無視して良い環境を確保することはできない、というのが風水の考え方なのです。

風水は空間の東洋医学

住環境は人間の意識と深い関わりがあり、人間は空気の流れが滞ったところ、異臭がしたり湿気が非常に多いところ、騒音の激しいところでは健康に暮らすことはできません。環境が健康に影響を及ぼすことは誰も否定しないでしょう。

そして、何か爽やかな気分になれる場所と、いるだけでイライラする場所があります。つまり、環境は心理にも影響を及ぼすのです。また、交通の便が悪いわけでも、店構えが貧相なわけでもないのに、そこで開業した店舗が続けて潰れる場所があります。これは環境が経済に影響することを示しています。さらに、事故が頻発する場所というのも存在します。

このような環境からの影響を「気」という観点から、整理、体系化したのが風水です。
鍼灸や指圧、足裏マッサージは、体内の気の滞りを取り除き、気の流れを良くすると同時に、血流の流れも良くする技術です。
東洋医学は、この「気」の存在を前提として組み立てられている医学のひとつです。

風水の伝統では、大地の気の流れを「龍脈(りゅうみゃく)」と呼び、気のエネルギーが噴き出す場所を「龍穴(りゅうけつ)」と呼んでいます。
そして、東洋医学では人体の気エネルギーが流れる道のことを「経絡(けいらく)」といい、気エネルギーの噴き出る場所を「径穴(けいけつ)=ツボ」と呼んでいます。

風水とは、読んで字のごとく、「風」と「水」。
気は風に乗って動き、水に出会って留まる性質があることから、その言葉がうまれました。いい水にはいい気がたくさん入りますから、風水では、風通しがいいこと、水がきれいで流れがいいことを重要視します。水がいい状態に保たれていると、お金の状態もよくなっていきます。

これを体に当てはめるなら、風は呼吸のこと、水は血液循環を意味します。
当然流れは順調でなくてはなりません。
風水において、家の立地を考えるとき、水は川や道路を意味し、家の中を考えるとき、水は人が歩く経路である「動線」を意味します。
家や部屋も、ガラクタが多いと風が流れにくく、部屋は、呼吸困難になります。水である動線が阻害されて、部屋は血管が詰まった梗塞状態となり、お金の流れも悪くなってしまいます。
このように見ていくと、風水は住環境全般を対象とした住空間の「気」の流れをみる、空間の東洋医学だということです。人体だけでなく環境をも含めて住む方の心身を総合的に捉えるものです。

 

脳は五感を通じて環境から情報を得る

古代からの東洋の叡智である「風水」と、脳科学・環境心理学・行動経済学など、現代の科学的知見を融合させ、独自の『風水環境科学』を体系化し、それをもとに、幸福な人生に寄与する住まいや職場の環境作りを提唱している国際風水科学協会であり、それを予防医学や代替医療として活かす試みが『建築医学』です。
環境が発する情報(=気)は、五感を通じて脳に入り、脳を経て心や体に作用します。気が乱れていれば、心が乱れ、体の健康状態も乱れます。それは行動を乱しますから、不自然で誤った行動が増え、結果、運も悪くなっていきます。このように、環境は脳に作用し、運の良し悪しも決めるのです。
ドイツ・ハイデルベルグ大学生理学研究所のマンフレート・ツィメルマン教授の研究によれば、人間の脳は、毎秒千百ビットもの情報を無意識に受け取っています。

われわれが見ている、聴いていると思って意識している知覚の情報量は、五感すべてを足し合わせても、たった77ビットしかありません。
この科学的研究結果は、人間が知覚できる情報は、わずか0.001%以下だということを示しています。つまり99.999%以上の情報は意識されることなく(無意識に)脳に入ってきているということです。

人間の脳は、環境が発している情報(=気)を、五感を通じて無意識に受け取っています。ということは、環境の情報(=気)が乱れていれば、すなわち、自宅や職場が散らかってガラクタが多ければ、脳が混乱し、思考が乱れ、心も乱れ、行動も乱れ、結果的に人生が混乱するのです。逆に言えば、環境が発している情報を変えないかぎり、脳にインプットされる情報が変わらないので、アウトブットされる情報(=考え方や行動)も変わりません。

最新の脳科学が明らかにしたところによれば、「楽しい」「うれしい」「心地よい」などの肯定的な感情を感じているとき、あるいは「やる気」に満ちているとき、脳の中では、特定の神経伝達物質(脳内ホルモン)が分泌されています。このようなとき、人間は頭脳が明晰になり、健康度が高まり、行動も洗練されます。結果として生産性が高まり、物事の流れがスムーズになり、すてきな偶然が起こるようになります。これが「ツイている」状態です。「ツキ」や「運」を呼ぶためには、環境を整えて、脳の状態を「快」にすることが必須条件なのです。

このように私たちは、無意識のうちに、自宅の壁や天井を見たり、床の感触を感じたりしています。これら壁の色や床の触感といった情報はつねに五感から入ってきて、意識しなくとも脳に蓄積され、脳の中で感情や思考あるいはパワーに変換されていきます。この知らず知らずに入ってくる情報が良いものであれば、それは心身にとってプラスに、良くないものであればマイナスに作用します。

デザイン、形、間取り、素材、色、照明、動線などこれら数多くの要素で構成されているのが住空間です。ドクターズホームでは、風水の整った住環境は、空気、気、土地、磁気、デザイン・形、間取り、光・色、香り、音、外構・庭、素材、高性能、の要素が重要と考えます。
ですから、風水は環境情報学でもあります。

風水で住環境を整えることは(『風水環境科学』や『建築医学』『高性能』の技術を使い)、体の健康、心の健康、財の健康をバランスよく整え能力・才能を高め、幸運を呼び寄せ、幸福な成功者となり幸せの輪を広げ豊かな未来までも創っていける住環境と考えます。